令和8年5月 こども性暴力防止法(日本版DBS)で義務対象事業者は何をすればよい?施行までの準備を完全解説

義務対象事業者向け

放課後等デイサービス、児童発達支援、私立保育園、認定こども園など、こども性暴力防止法の義務対象事業者に該当し得る事業者向けに、施行までに確認しておきたい準備を整理します。

この記事の結論

こども性暴力防止法(日本版DBS)に基づく対応は、犯罪事実確認だけで完結するものではありません。

義務対象事業者に該当し得る事業者は、施行までに、GビズIDやこまもろうシステムへの登録準備だけでなく、対象となり得る従事者の整理、現職者への説明、採用前対応、就業規則・服務規律の見直し、相談体制、研修、児童等・保護者への周知、情報管理措置などを幅広く確認しておく必要があります。

特に、放課後等デイサービス、児童発達支援、私立保育園、認定こども園などでは、現場でこどもと接する従事者が多く、送迎、個別支援、身体介助、着替え、午睡、写真撮影、保護者対応など、日常業務の中に整理すべき場面が多くあります。

そのため、施行直前に一度に対応しようとするのではなく、今のうちから、自社・自施設の事業内容、従事者の業務実態、採用・労務管理、現場ルール、情報管理体制を順番に確認しておくことが重要です。

この記事では、こども性暴力防止法の義務対象事業者に該当し得る事業者向けに、施行までに確認しておきたい準備を、できるだけ実務に近い形で整理します。

※本記事でいう「こども性暴力防止法」とは、正式には「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律(令和6年法律第69号)」を指します。

※報道や一般的な説明では「日本版DBS」と呼ばれることがありますが、本記事では、犯罪事実確認の仕組みを含む制度対応全体について、読みやすさを考慮して「日本版DBS対応」と表記する場合があります。

※本記事は、こども家庭庁が公表している法律、施行ガイドライン、Q&A、事業者向けチェックリスト、各種ひな型・参考例等を踏まえて、制度の概要と準備項目を整理するものです。個別事案についての法的判断を示すものではありません。

この記事でわかること

  • こども性暴力防止法(日本版DBS)で、義務対象事業者が確認すべき全体像
  • 放課後等デイサービス、児童発達支援、私立保育園、認定こども園で注意したい点
  • GビズID、こまもろうシステム、まとめ登録に関する準備
  • 対象となり得る従事者、現職者、スポットワーカー、外部講師等の整理
  • 求人票、募集要項、誓約書、内定通知書、就業規則、服務規律の見直し
  • 相談体制、報告対応ルール、研修、保護者等への周知、情報管理措置の準備

こども性暴力防止法(日本版DBS)とは

こども性暴力防止法とは、こどもが教育・保育等を受ける場において、児童対象性暴力等を防止し、こどもの安全を確保するための法律です。

正式名称は、 「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律(令和6年法律第69号)」 です。

こども家庭庁の公表資料では、この法律は令和8年12月25日に施行されるとされています。

ここで押さえたいポイント

一般に「日本版DBS」と呼ばれることがありますが、事業者が準備すべきことは、犯罪事実確認だけではありません。

犯罪事実確認だけでなく、体制整備まで含めて考える制度です

こども性暴力防止法は犯罪事実確認だけでなく安全確保措置や情報管理措置も含む制度

こども性暴力防止法に基づく対応では、特定性犯罪前科の有無を確認する仕組みが重要な要素になります。

しかし、事業者に求められる対応は、それだけではありません。 日頃から児童対象性暴力等を防止するためのルールづくり、相談体制、従事者向け研修、児童等・保護者への周知、情報管理措置なども含めて、組織全体で準備を進める必要があります。

犯罪事実確認

対象となり得る従事者について、制度に基づく確認手続を整理します。

安全確保措置

服務規律、相談体制、研修、保護者等への周知などを整えます。

情報管理措置

犯罪事実確認記録等を適正に扱うため、閲覧権限や保管方法を整理します。

義務対象事業者では、施行前から準備が必要です

義務対象事業者に該当し得る事業者では、施行後に慌てて対応するのではなく、施行前から準備を進めておくことが重要です。

特に、放課後等デイサービス、児童発達支援、私立保育園、認定こども園などでは、こどもと接する従事者が多く、日常業務の中で整理すべき場面も多くあります。

そのため、犯罪事実確認の準備だけでなく、採用前対応、現職者対応、対象従事者の整理、相談体制、研修、情報管理規程などを、事業者ごとの実情に合わせて確認していく必要があります。

義務対象事業者とは

こども性暴力防止法では、すべての事業者が同じ扱いになるわけではありません。

大きく分けると、法律上の措置が義務付けられる枠組みに関係する 「学校設置者等」と、一定の要件を満たしたうえで国の認定を受ける 「民間教育保育等事業者」の枠組みがあります。

このページでは、主に放課後等デイサービス、児童発達支援、私立保育園、認定こども園など、 義務対象事業者に該当し得る事業者を念頭に、施行までに確認しておきたい準備を整理します。

ここで押さえたいポイント

「こどもと関わる事業だからすべて同じ対応」と考えるのではなく、自社・自施設がどの枠組みに関係し得るのかを確認することが出発点になります。

義務対象事業者に該当し得る主な施設・事業

こども性暴力防止法の義務対象事業者と認定制度側の違い

義務対象事業者に関係し得る施設・事業としては、たとえば次のようなものがあります。

学校・園関係

  • 学校
  • 幼稚園
  • 認定こども園
  • 認可保育所

福祉・児童福祉関係

  • 児童福祉施設
  • 児童養護施設
  • 児童館
  • その他児童福祉関係施設

障害児支援関係

  • 児童発達支援
  • 放課後等デイサービス
  • 居宅訪問型児童発達支援
  • 保育所等訪問支援

ただし、実際にどの事業者・施設がどの枠組みに該当するかは、事業の種類、指定・認可の状況、運営形態、所轄庁からの案内などを踏まえて確認する必要があります。

放課後等デイサービス・児童発達支援で注意したい点

放課後等デイサービスや児童発達支援などは、指定障害児通所支援事業に関係するため、学習塾やスポーツクラブなどの認定制度側の話とは分けて確認する必要があります。

たとえば、放課後等デイサービスでは、管理者、児童発達支援管理責任者、児童指導員、保育士、支援員、送迎担当者、補助者など、さまざまな立場の人がこどもと関わります。

そのため、単に「正社員かどうか」「資格者かどうか」だけでなく、実際にどの業務でこどもと接するのか、送迎や個別支援、身体介助、見守り、1対1になり得る場面があるのかを整理することが重要です。

私立保育園・認定こども園で注意したい点

私立保育園や認定こども園では、設置者、法人本部、園長、主任、保育士、保育補助者、パート職員、派遣職員、委託業者など、関係者が多くなりやすい傾向があります。

また、日常業務の中には、着替え、排泄補助、午睡、写真撮影、送迎、保護者対応など、こどもの安全やプライバシーに深く関わる場面があります。

そのため、犯罪事実確認の対象となり得る従事者の整理だけでなく、服務規律、不適切な行為の範囲、相談体制、保護者への周知、写真や記録データの管理方法などもあわせて確認する必要があります。

認定制度側と混同しないことが重要です

一方で、学習塾、スポーツクラブ、習い事教室、放課後児童クラブ、認可外保育施設などは、事業内容や運営形態に応じて、認定制度側として整理される場合があります。

これらの事業者も、こどもと関わる重要な現場であることに変わりはありません。 ただし、義務対象事業者と認定制度側では、確認すべき手続や準備の流れが異なる場合があります。

そのため、この記事ではまず義務対象事業者向けの準備を中心に整理し、認定制度側の事業者については、別ページで詳しく整理していく予定です。

なぜ月別ではなく準備項目で整理するのか

こども性暴力防止法への対応を考えるとき、「何月に何をすればよいのか」という月別スケジュールで整理したくなるかもしれません。

しかし、この記事では、あえて月別ではなく、施行までに確認しておきたい準備項目として整理しています。

月別だけで考えると危険な理由

事業者の規模、施設数、採用予定、所轄庁からの案内状況、委託先や外部人材の有無によって、着手すべき順番が変わるためです。

採用前対応は、施行直前では遅い場合があります

特に注意したいのが、求人票、募集要項、採用時説明、誓約書、内定通知書などの採用前対応です。

採用活動がすでに動いている事業者では、施行日が近づいてから見直すのではなく、今後の募集・採用の段階から、どのような説明を行うかを整理しておく必要があります。

たとえば、採用後に犯罪事実確認や従事判断に関する説明を初めて行うと、応募者や内定者から 「聞いていない」 「事前に説明がなかった」 と受け止められる可能性があります。

そのため、採用前の段階で、対象業務の内容、制度対応の概要、必要となり得る確認手続、誓約書や内定通知書の内容を整理しておくことが重要です。

月別で考えるリスク

「まだ先でよい」と誤解し、求人票や採用時説明など、早めに見直すべき項目が後回しになる可能性があります。

項目別で考えるメリット

自社の状況に合わせて、採用、現職者対応、情報管理、研修などを並行して確認しやすくなります。

システム対応と現場対応は並行して進める必要があります

義務対象事業者では、GビズID、こまもろうシステム、まとめ登録など、システムや行政手続に関する準備も関係します。

しかし、システム登録ができれば準備完了というわけではありません。

実際の現場では、対象となり得る従事者の整理、現職者への説明、採用関係書類の見直し、不適切な行為の範囲整理、相談窓口、報告・対応ルール、研修、保護者等への周知、情報管理規程など、多くの準備が必要になります。

これらは、ひとつずつ順番に終わらせるというより、複数の項目を並行して確認する性質があります。

抜け漏れを防ぐために、チェック項目として整理します

そこでこの記事では、義務対象事業者が施行までに確認したい内容を、月別ではなく、準備項目ごとに整理します。

施設の種類や運営形態によって、優先順位は異なります。 放課後等デイサービス、児童発達支援、私立保育園、認定こども園など、それぞれの現場で必要となる対応も同じではありません。

まずは全体像を確認し、自社・自施設では何ができていて、何が未対応なのかを整理することが、施行前の混乱を防ぐための第一歩になります。

義務対象事業者が施行までに確認したい30項目

次に、義務対象事業者が施行までに確認しておきたい項目を、30項目に分けて整理します。

すべての事業者が同じ順番で進める必要があるわけではありません。施設の種類、従事者の人数、採用予定、外部人材の有無、所轄庁からの案内状況などによって、優先順位は変わります。

ただし、抜け漏れを防ぐためには、GビズID・まとめ登録だけでなく、採用前対応、現職者対応、服務規律、相談体制、研修、情報管理措置まで、全体を一度確認しておくことが重要です。

この表の使い方

自社・自施設で「確認済み」「未対応」「これから検討」のどれに当たるかを見ながら、準備状況を整理するために使ってください。

区分 No. 確認項目 確認したい内容
基本整理 1 義務対象該当性の確認 自社・自施設が、こども性暴力防止法上の義務対象事業者に該当し得るかを確認します。
基本整理 2 対象施設・事業所の洗い出し 法人単位だけでなく、施設・事業所ごとに対象となり得る範囲を整理します。
基本整理 3 本部・施設・所轄庁との役割分担 法人本部、各施設、所轄庁との間で、誰が何を確認・提出・管理するのかを整理します。
基本整理 4 GビズID取得状況の確認 こまもろうシステム利用に向けて、GビズIDの取得状況を確認します。
基本整理 5 こまもろうシステム・まとめ登録準備 義務対象事業者向けの事業者情報登録・アカウント登録の流れを確認します。
対象従事者 6 管理責任者等の整理 管理責任者、情報管理担当者、現場責任者などの役割を整理します。
対象従事者 7 対象従事者の範囲確認 職種名だけでなく、こどもとの関わり方や業務実態に応じて確認します。
対象従事者 8 現職者対応の方針整理 施行時点で在籍している職員への説明、確認、対応方針を整理します。
対象従事者 9 特定性犯罪事実の基本理解 どのような犯罪事実が確認対象となり得るのか、制度上の範囲を正確に理解します。
対象従事者 10 確認結果が出た場合の対応想定 特定性犯罪事実該当者であることが確認された場合の防止措置や従事判断を想定します。
採用・労務 11 配置転換・解雇等の留意点確認 労働法制や個別事情との関係を踏まえ、必要に応じて弁護士・社会保険労務士等との連携も検討します。
採用・労務 12 再確認時期の整理 一度確認して終わりではなく、再確認の周期や管理方法を確認します。
採用・労務 13 求人票・募集要項の見直し 採用前から、対象業務や犯罪事実確認に関する説明内容を整理します。
採用・労務 14 採用時説明の整理 面接時・採用時に、どこまで説明し、どのように記録を残すかを確認します。
採用・労務 15 誓約書・内定通知書の確認 誓約書、内定通知書、意向確認書面などの内容を見直します。
規程・現場 16 就業規則・服務規律の見直し 不適切な行為、報告義務、懲戒事由、従事制限等の記載を確認します。
規程・現場 17 不適切な行為の範囲整理 SNS、私的連絡、撮影、送迎、密室対応、過度な特別扱いなどを整理します。
規程・現場 18 物理的環境の点検 死角、密室、相談室、トイレ、着替え、午睡、送迎車などを確認します。
規程・現場 19 スポットワーカー対応 短時間勤務者やスポットワーカーについて、雇用形態ではなく業務実態で確認します。
規程・現場 20 外部講師・委託先等の確認 外部講師、派遣、委託先、指定管理、送迎委託、写真業者などの扱いを整理します。
周知・研修 21 実習生・ボランティア等の確認 実習生、ボランティア、保護者協力者など、こどもと接する人の扱いを確認します。
周知・研修 22 相談窓口の整備 児童等、保護者、従事者が相談しやすい窓口や受付方法を整えます。
周知・研修 23 報告・対応ルールの整備 疑いを把握した場合の報告先、初動対応、関係機関との連携を整理します。
周知・研修 24 従事者向け研修の実施 研修計画、受講対象者、受講記録、確認テスト等を整備します。
周知・研修 25 児童等・保護者への周知 制度の概要、相談先、報告ルールなどを児童等・保護者に分かりやすく周知します。
情報管理・初動対応 26 情報管理規程の整備 犯罪事実確認記録等の取扱いに関する情報管理規程を整えます。
情報管理・初動対応 27 閲覧権限・保管・廃棄方法の整理 誰が閲覧できるか、どこに保管するか、いつ廃棄するかを決めます。
情報管理・初動対応 28 漏えい時対応の整理 漏えい等が発生した場合の報告、本人通知、再発防止の流れを確認します。
情報管理・初動対応 29 事案発生時の初動対応 こどもの安全確保、保護者対応、事実確認、関係機関との連携を整理します。
情報管理・初動対応 30 対外的説明・公表対応の整理 事業者マーク、保護者説明、事案発生時の説明方針などを整理します。

この30項目は、こども家庭庁が公表している施行ガイドライン、Q&A、事業者向けチェックリスト、各種ひな型・参考例等を踏まえ、義務対象事業者が実務上確認しやすいように整理したものです。

個別の該当性や具体的な対応方法は、事業の種類、施設の運営形態、従事者の業務内容、所轄庁からの案内状況などによって異なります。

そのため、実際に準備を進める際は、公的資料を確認しながら、自社・自施設の実情に合わせて整理することが大切です。

整えておきたい規程・書面一覧

こども性暴力防止法への対応では、制度を理解するだけでなく、実際に運用できる形で規程・書面・記録類を整えていくことが重要です。

ただし、すべての事業者が同じ書類を同じ形で作ればよいわけではありません。 施設の種類、従事者の人数、採用の有無、外部人材の関与、情報管理の方法などによって、必要となる書面や整備の優先順位は変わります。

書面整備で大切なこと

ひな型をそのまま使うのではなく、自社・自施設の現場実態に合わせて、誰が読み、誰が使い、どの場面で運用するのかを考えて整えることが重要です。

1. 規程・ルール系

  • 児童対象性暴力等対処規程
  • 情報管理規程
  • 就業規則
  • 服務規律
  • 報告ルール
  • 対応ルール
  • 相談窓口運用ルール
  • 研修実施ルール
  • 情報閲覧権限設定表
  • 記録管理ルール
  • 廃棄ルール
  • 漏えい時対応ルール

2. 採用・人事系

  • 募集要項
  • 求人票
  • 採用時説明文書
  • 面接時確認事項
  • 誓約書
  • 内定通知書
  • 意向確認書面
  • 現職者向け説明文書
  • 配置転換検討記録
  • 従事判断記録

3. 情報管理系

  • 犯罪事実確認記録等の取扱記録
  • 権限設定表
  • 本人通知整理表
  • 情報管理担当者研修記録
  • 保管記録
  • 廃棄記録
  • 漏えい時報告記録
  • 閲覧権限管理表

4. 周知・研修系

  • 従事者向け研修資料
  • 研修受講記録
  • 確認テスト
  • 保護者向け周知資料
  • 児童等向け相談フロー資料
  • 相談窓口案内
  • 報告・相談カード
  • 保護者説明用Q&A

書類を作ること自体が目的ではありません

規程や書面を整えることは重要ですが、書類を作ること自体が目的ではありません。

大切なのは、現場で実際に使えることです。 たとえば、相談窓口を設けても、こどもや保護者が相談しにくい運用であれば十分とはいえません。 情報管理規程を作っても、誰がどの情報を閲覧できるのかが曖昧であれば、漏えいや不適切な取扱いのリスクが残ります。

そのため、規程・書面を整えるときは、現場の動き、採用の流れ、従事者への説明、保護者への周知、情報管理の方法まで含めて確認することが大切です。

優先順位をつけて整備することが重要です

すべての書類を一度に整備するのは、現実的には難しい場合があります。 特に、放課後等デイサービス、児童発達支援、私立保育園、認定こども園などでは、日常業務を続けながら制度対応を進める必要があります。

まずは、義務対象該当性、対象従事者、採用前対応、相談体制、情報管理規程など、優先度の高い項目から確認し、その後に研修資料、記録様式、保護者向け資料などを段階的に整えていくと進めやすくなります。

放課後等デイサービス・児童発達支援で特に注意したい点

放課後等デイサービスや児童発達支援など、指定障害児通所支援事業に関係する事業では、こども性暴力防止法への対応を早めに整理しておくことが重要です。

これらの事業では、こどもと従事者が継続的に関わる場面が多く、個別支援、送迎、身体介助、見守り、保護者対応など、日常業務の中に確認すべきポイントが多くあります。

放課後等デイサービス・児童発達支援で特に見たい視点

事業名だけで判断するのではなく、こどもと誰が、どこで、どのように関わるのかを、業務実態に沿って整理することが重要です。

1. 管理者・児童発達支援管理責任者・指導員等の役割を整理する

放課後等デイサービスや児童発達支援では、管理者、児童発達支援管理責任者、児童指導員、保育士、支援員、補助者、送迎担当者など、複数の立場の人がこどもと関わります。

そのため、まずは職種名だけで一括して考えるのではなく、それぞれの従事者が実際にどの業務を担当しているのかを確認する必要があります。

確認する人・役割 確認したい業務例
管理者 施設運営、職員管理、保護者対応、事故・相談対応
児童発達支援管理責任者 個別支援計画、支援内容の調整、保護者面談
児童指導員・保育士・支援員 日常支援、個別支援、集団活動、見守り、身体介助
送迎担当者 送迎車内での対応、乗降補助、こどもとの1対1場面
補助者・短時間勤務者 見守り、活動補助、清掃、準備、児童との接触場面

2. 送迎・個別支援・身体介助の場面を確認する

放課後等デイサービスや児童発達支援では、送迎、個別支援、身体介助など、こどもと近い距離で関わる場面があります。

特に、送迎車内、個別支援室、トイレや着替えの補助、クールダウンのための別室対応などは、他者の目が届きにくい場面になり得ます。

そのため、単に「支援の一環だから問題ない」と考えるのではなく、必要な支援を行いながらも、こどもと従事者双方を守るためのルールを整えておくことが大切です。

送迎

車内で1対1になり得るか、乗降補助や待機時間の対応を確認します。

個別支援

個室や別室で対応する場合の見守り、記録、声かけのルールを整理します。

身体介助

トイレ、着替え、移動補助など、必要性と記録方法を確認します。

3. スポットワーカー・外部講師・委託先も業務実態で確認する

放課後等デイサービスや児童発達支援でスポットワーカーや外部講師を業務実態で確認するポイント

放課後等デイサービスや児童発達支援では、短時間勤務者、スポットワーカー、外部講師、送迎委託、清掃・写真・イベント関係者など、常勤職員以外の人が関わる場合もあります。

この場合、「雇用契約か業務委託か」「短時間か常勤か」だけで判断するのではなく、実際にこどもと接する場面があるか、1対1や閉鎖的な場面があるか、支援や見守りに関わるかを確認することが重要です。

特に、イベント講師、運動指導、音楽療法、学習支援、写真撮影、送迎補助などは、施設の運用によってこどもとの関わり方が大きく変わります。

4. 保護者への説明と相談窓口を整える

放課後等デイサービスや児童発達支援では、保護者との信頼関係も重要です。

制度対応を進める際には、単に職員向けのルールを整えるだけでなく、保護者に対して、こどもの安全確保のためにどのような取組を進めているのかを分かりやすく伝えることも大切です。

また、こどもや保護者が不安を感じたときに、どこに相談すればよいのか、誰が受け付けるのか、どのように対応するのかを明確にしておく必要があります。

制度導入の目的を間違えないこと

こども性暴力防止法への対応は、書類をそろえることだけが目的ではありません。こどもが安心して通える環境を整え、職員も適切なルールのもとで安心して働ける体制をつくることが重要です。

5. 放課後等デイサービス・児童発達支援で優先して確認したいこと

まずは、次のような項目から確認すると、全体像を整理しやすくなります。

  • 対象となり得る施設・事業所を整理しているか
  • 管理者、児童発達支援管理責任者、指導員、送迎担当者等の業務内容を整理しているか
  • 送迎、個別支援、身体介助、見守りなど、こどもと接する場面を洗い出しているか
  • 外部講師、スポットワーカー、委託先、実習生等の扱いを確認しているか
  • 求人票、採用時説明、誓約書、就業規則、服務規律を見直しているか
  • 相談窓口、報告対応ルール、従事者向け研修、保護者向け周知を整えているか
  • 犯罪事実確認記録等の情報管理方法を整理しているか

私立保育園・認定こども園で特に注意したい点

私立保育園や認定こども園では、こどもと従事者が日常的かつ継続的に関わります。 そのため、こども性暴力防止法への対応では、犯罪事実確認だけでなく、保育現場の実態に合わせたルール整備、相談体制、研修、情報管理まで含めて考えることが重要です。

特に、保育士、保育補助者、パート職員、派遣職員、実習生、外部業者など、さまざまな立場の人が園内でこどもと関わる可能性があります。 職種名や雇用形態だけではなく、実際にどのような場面でこどもと接するのかを確認する必要があります。

保育園・認定こども園で特に見たい視点

着替え、排泄補助、午睡、写真撮影、送迎、園外活動など、日常の保育場面の中に、こどもの安全やプライバシーに関わる場面が多くあります。

1. 園長・主任・保育士・補助者の役割を整理する

私立保育園や認定こども園では、設置者、法人本部、園長、主任、保育士、保育補助者、パート職員、派遣職員など、複数の立場の人が関係します。

まずは、誰がこどもと直接関わるのか、誰が職員を管理するのか、誰が相談を受けるのか、誰が犯罪事実確認に関する情報を扱うのかを整理することが重要です。

確認する人・役割 確認したい業務例
設置者・法人本部 制度対応方針、就業規則、情報管理、複数園の統一ルール
園長・主任 現場運用、職員管理、相談受付、保護者対応、初動対応
保育士 日常保育、着替え、排泄補助、午睡、園外活動、保護者対応
保育補助者・パート職員 見守り、補助業務、活動準備、清掃、こどもとの接触場面
派遣職員・外部業者 園内業務、写真撮影、行事補助、給食・清掃・送迎等の関与

2. 着替え・排泄補助・午睡などの場面を確認する

保育現場では、こどもの年齢や発達段階に応じて、着替え、排泄補助、午睡、身体の確認、体調不良時の対応など、こどもと近い距離で関わる場面があります。

これらは保育上必要な支援である一方、こどもの身体やプライバシーに深く関わる場面でもあります。 そのため、どのような場合に誰が対応するのか、記録を残すべき場面はどこか、他の職員の目が届く運用になっているかを確認することが大切です。

着替え・排泄補助

必要な支援の範囲、声かけ、複数職員での確認、記録の要否を整理します。

午睡・休息

見守り方法、職員配置、死角の有無、記録方法を確認します。

写真・動画

撮影者、撮影機器、保存場所、共有範囲、削除方法を整理します。

3. 写真・動画・記録データの管理を確認する

保育園や認定こども園では、行事、日常保育、連絡帳、園だより、保護者向けアプリなどで、写真や動画を扱う場面があります。

写真や動画は、保護者への情報共有や園の記録として有用ですが、こどものプライバシーに関わる情報でもあります。 私物スマートフォンでの撮影、個人アカウントでの共有、保存先が曖昧な運用は、トラブルにつながる可能性があります。

そのため、撮影できる人、撮影できる場面、保存場所、外部共有の可否、削除の方法、退職者が関与したデータの扱いなどを、あらかじめルール化しておくことが重要です。

4. 実習生・ボランティア・外部業者の扱いを確認する

私立保育園や認定こども園では、実習生、ボランティア、行事協力者、写真業者、給食・清掃・設備関係の業者など、職員以外の人が園内に入る場合があります。

これらの人が必ず犯罪事実確認の対象になると断定するものではありません。 しかし、こどもと直接接する場面があるのか、単独でこどもと関わる可能性があるのか、園の管理下でどのような業務を行うのかは確認しておく必要があります。

特に、行事や園外活動では、通常とは異なる人員配置になることがあります。 そのため、外部者が関与する場面では、事前説明、立入範囲、職員の付き添い、撮影ルール、記録方法を整理しておくことが望まれます。

5. 保護者への説明と相談しやすい体制を整える

保育園や認定こども園では、保護者との信頼関係が非常に重要です。 制度対応を進める際には、こどもの安全を守るために園としてどのような取組を進めているのかを、保護者に分かりやすく伝えることも大切です。

また、保護者やこどもが不安を感じたときに、どこに相談すればよいのか、誰が受け付けるのか、どのように対応するのかを明確にしておく必要があります。

保育現場で大切なこと

制度対応は、現場を萎縮させるためのものではありません。こどもを守り、保護者の安心につなげ、職員も明確なルールのもとで働ける環境を整えることが目的です。

6. 私立保育園・認定こども園で優先して確認したいこと

まずは、次のような項目から確認すると、全体像を整理しやすくなります。

  • 設置者、法人本部、園長、主任、現場責任者の役割分担を整理しているか
  • 保育士、補助者、パート、派遣、実習生、外部業者の関わり方を整理しているか
  • 着替え、排泄補助、午睡、写真撮影、園外活動などの場面を確認しているか
  • 私物スマートフォン、写真・動画、保護者向けアプリの運用ルールを確認しているか
  • 求人票、採用時説明、誓約書、就業規則、服務規律を見直しているか
  • 相談窓口、報告対応ルール、従事者向け研修、保護者向け周知を整えているか
  • 犯罪事実確認記録等の情報管理方法を整理しているか

よくある質問

ここでは、こども性暴力防止法(日本版DBS)について、義務対象事業者からよく出やすい疑問を整理します。

実際の該当性や対応方法は、事業内容、施設の種類、従事者の業務内容、所轄庁からの案内状況などによって異なります。ここでは、制度理解のための一般的な整理としてご確認ください。

Q1. 放課後等デイサービスは義務対象事業者に該当しますか?

放課後等デイサービスなど、指定障害児通所支援事業に関係する事業については、義務対象側の枠組みとして確認する必要があります。

ただし、実際の対応では、法人・施設・事業所の関係、所轄庁からの案内、従事者の業務内容などを踏まえて整理する必要があります。学習塾やスポーツクラブなどの認定制度側とは分けて確認することが重要です。

Q2. 児童発達支援事業所では何を準備すればよいですか?

まずは、対象となり得る施設・事業所、管理者・児童発達支援管理責任者・指導員・保育士・補助者などの役割、こどもと接する場面を整理することが出発点になります。

そのうえで、GビズIDやシステム登録準備、対象従事者の整理、採用前対応、服務規律、相談体制、研修、保護者への周知、情報管理規程などを確認していく必要があります。

Q3. 私立保育園や認定こども園では、まず何から始めればよいですか?

まずは、設置者、法人本部、園長、主任、現場責任者の役割分担を整理することが重要です。

そのうえで、保育士、保育補助者、パート職員、派遣職員、実習生、外部業者など、こどもと接する可能性のある人の業務実態を確認します。着替え、排泄補助、午睡、写真撮影、園外活動などの場面も、現場ルールとして整理しておくことが望まれます。

Q4. 犯罪事実確認だけ準備すれば足りますか?

足りません。犯罪事実確認は重要な仕組みですが、こども性暴力防止法への対応はそれだけではありません。

相談体制、従事者向け研修、児童等・保護者への周知、不適切な行為を防ぐための服務規律、情報管理措置、事案発生時の報告・対応ルールなどを含めて、組織全体で準備を進める必要があります。

Q5. 現職者にも犯罪事実確認が必要になりますか?

施行時点で既に勤務している職員についても、制度上の対応が問題になります。

実務上は、現職者への説明、確認の時期、対象となり得る業務の整理、同意や手続への対応、拒否があった場合の取扱いなどを、事前に検討しておく必要があります。現職者対応は、労務管理や職場内の説明にも関係するため、早めに方針を整理しておくことが重要です。

Q6. スポットワーカーや短時間勤務者も対象になりますか?

「スポットワーカーだから対象外」「短時間勤務だから対象外」と単純に判断することはできません。

重要なのは、雇用形態や勤務時間だけではなく、実際にこどもと接する場面があるか、1対1や閉鎖的な場面があるか、送迎・見守り・補助・個別支援などに関わるかという業務実態です。

Q7. 外部講師や委託先はどう考えればよいですか?

外部講師、派遣職員、送迎委託、写真業者、イベント関係者などについても、業務実態に応じて確認が必要になる場合があります。

こどもと直接接するのか、単独で接する場面があるのか、施設の管理下でどのような業務を行うのかを整理し、必要に応じて契約内容、立入範囲、職員の付き添い、記録方法、撮影ルールなどを確認しておくことが重要です。

Q8. 求人票や募集要項は今から見直した方がよいですか?

はい。採用活動がある事業者では、早めに見直した方がよい項目です。

採用後に初めて犯罪事実確認や従事判断に関する説明を行うと、「事前に聞いていない」と受け止められる可能性があります。求人票、募集要項、採用時説明、誓約書、内定通知書などは、施行直前ではなく、今後の採用活動に入る前から確認しておくことが望まれます。

Q9. 特定性犯罪事実が確認された場合、すぐに解雇できますか?

直ちに一律の対応ができると考えるのは危険です。

特定性犯罪事実が確認された場合でも、防止措置、従事判断、配置転換の可能性、業務内容、労働法制、就業規則、個別事情などを踏まえて慎重に検討する必要があります。解雇や配置転換に関する個別判断は、必要に応じて弁護士や社会保険労務士等と連携して確認することが望まれます。

Q10. 情報管理では何に注意すべきですか?

犯罪事実確認記録等は、非常に機微性の高い情報です。

誰が閲覧できるのか、どこに保管するのか、どのように記録するのか、いつ廃棄するのか、漏えい等が起きた場合に誰がどのように対応するのかを、あらかじめ整理しておく必要があります。情報管理規程、閲覧権限、取扱記録、廃棄記録、漏えい時対応ルールを整えておくことが重要です。

Q11. 保護者にはどこまで説明すればよいですか?

保護者への説明では、制度の細かな手続だけでなく、こどもの安全確保のために事業者としてどのような体制整備を進めているのかを分かりやすく伝えることが重要です。

相談窓口、報告ルール、不適切な行為を防ぐための取組、写真・動画の取扱い、職員研修などについて、保護者が安心して確認できる形で周知することが望まれます。

Q12. 行政書士に相談できる範囲はどこまでですか?

行政書士は、制度対応の全体整理、事業者情報登録に向けた準備、規程・書面類の作成支援、行政手続に関する整理などをサポートできる場合があります。

一方で、個別の労働紛争、解雇の可否、損害賠償、刑事事件対応など、弁護士や社会保険労務士等の専門領域に関わる事項については、必要に応じて他士業との連携が必要になります。

まとめ|制度対応の目的は、こどもと職員の双方が安心できる環境づくりです

こども性暴力防止法(日本版DBS)への対応は、単に犯罪事実確認を行うためだけの準備ではありません。

義務対象事業者に該当し得る事業者では、GビズIDやこまもろうシステム、まとめ登録に関する確認だけでなく、対象従事者の整理、現職者対応、採用前対応、就業規則・服務規律、相談体制、研修、児童等・保護者への周知、情報管理措置まで、幅広い準備が関係します。

特に、放課後等デイサービス、児童発達支援、私立保育園、認定こども園などでは、日常業務の中でこどもと近い距離で関わる場面が多くあります。 送迎、個別支援、身体介助、着替え、排泄補助、午睡、写真撮影、保護者対応など、現場ごとの実態に合わせてルールを整理しておくことが重要です。

この記事で押さえたいこと

制度を導入すること自体が目的ではありません。こどもを守ること、職員が明確なルールのもとで安心して働けること、保護者に説明できる体制を整えることが重要です。

施行前に確認しておきたい主な視点

  • 自社・自施設が義務対象事業者に該当し得るか確認する
  • 対象施設・事業所、対象となり得る従事者を整理する
  • GビズID、こまもろうシステム、まとめ登録の状況を確認する
  • 求人票、募集要項、採用時説明、誓約書、内定通知書を見直す
  • 就業規則、服務規律、不適切な行為の範囲を整理する
  • スポットワーカー、外部講師、委託先、実習生等の扱いを確認する
  • 相談窓口、報告対応ルール、従事者向け研修、保護者等への周知を整える
  • 情報管理規程、閲覧権限、記録・保管・廃棄方法を整理する
  • 万が一の事案発生時の初動対応を確認する

すべてを一度に整える必要はありません。 ただし、採用活動が始まっている事業者、複数施設を運営している法人、外部人材やスポットワーカーの関与がある事業者では、早めに全体像を把握しておくことが重要です。

まずは、現在の事業内容、施設の運営形態、従事者の業務内容、採用関係書類、現場ルール、情報管理体制を確認し、どこから整備すべきかを整理するところから始めると進めやすくなります。

相談・確認したい方へ

こども性暴力防止法対応に不安がある事業者の方へ

こども性暴力防止法(日本版DBS)への対応は、犯罪事実確認だけでなく、対象従事者の整理、現職者対応、採用前対応、就業規則・服務規律、相談体制、研修、保護者等への周知、情報管理措置まで関係します。

特に、放課後等デイサービス、児童発達支援、私立保育園、認定こども園などでは、現場の実態に合わせて、どこから準備を進めるべきかを整理することが重要です。

MiRAIL行政書士事務所では、埼玉県三芳町・所沢市・富士見市・ふじみ野市周辺地域を中心に、こども性暴力防止法(日本版DBS)対応の整理・導入準備をサポートしています。

たとえば、次のような内容を確認したい場合は、早めの整理をおすすめします。

  • 自社・自施設が義務対象事業者に該当し得るか確認したい
  • 対象となり得る従事者の範囲を整理したい
  • 求人票・募集要項・誓約書・内定通知書を見直したい
  • 就業規則・服務規律・相談体制・研修体制を整えたい
  • 情報管理規程や閲覧権限、記録・廃棄方法を確認したい

まずは、自社の事業内容、施設の運営形態、従事者の業務内容、採用・情報管理の状況を整理するところから始めると、今後必要な対応が見えやすくなります。

※ご相談内容により、弁護士・社会保険労務士等の専門領域に関わる事項については、必要に応じて他士業との連携または専門家への確認をご案内する場合があります。

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