相続財産の確認方法|何を調べ、どう確定するのかを具体的に解説
相続手続きでは、誰が相続人になるのかを確認したあとに、次に「どのような財産があるのか」「借金や未払い金はないのか」「どの財産を誰が引き継ぐのか」を整理していきます。
この作業を、相続財産の調査、財産確認、財産目録の作成などといいます。
相続財産の確認は、単に通帳の残高を見るだけでは足りません。
不動産、預貯金、株式、生命保険、自動車、現金、貸付金、未収金、借入金、未払い税金、クレジットカード、デジタル遺産など、確認すべきものは多岐にわたります。
特に近年は、ネット銀行、ネット証券、暗号資産、スマートフォン決済、サブスク契約など、紙の資料だけでは見つけにくい財産や契約も増えています。
このページでは、相続財産として何を確認すべきか、どの資料を見ればよいか、どのように財産を確定していくのかを、具体例を交えながら解説します。
相続財産の確認が必要になる理由
相続財産の確認が必要になる理由は、大きく分けて4つあります。
1つ目は、相続放棄をするかどうか判断するためです。
財産より借金の方が多い場合、相続放棄を検討することがあります。相続放棄には期限があるため、財産と負債を早めに確認することが重要です。
2つ目は、遺産分割協議をするためです。
相続人全員で「誰がどの財産を取得するか」を決めるには、まず相続財産の全体像を把握する必要があります。
3つ目は、金融機関や役所の手続きに使うためです。
預貯金の解約、不動産の相続登記、自動車の名義変更などでは、対象となる財産を具体的に特定する必要があります。
4つ目は、相続税の申告が必要か確認するためです。
相続税は、財産を相続した場合に必ずかかるものではありません。正味の遺産額が基礎控除額を超える場合に、相続税の申告・納税が必要になります。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。
相続財産として確認すべきもの
相続財産は、プラスの財産だけではありません。
借金、未払い金、保証債務などのマイナスの財産も確認が必要です。
主なプラスの財産
| 種類 | 具体例 | 主な確認資料 |
|---|---|---|
| 預貯金 | 普通預金、定期預金、ゆうちょ銀行、ネット銀行 | 通帳、キャッシュカード、残高証明書、取引明細、郵便物、メール |
| 現金 | 自宅保管の現金、金庫内の現金 | 金庫、封筒、家計簿、メモ |
| 不動産 | 土地、建物、マンション、共有持分、私道、山林、農地 | 固定資産税通知書、名寄帳、評価証明書、登記事項証明書 |
| 株式・投資信託 | 上場株式、投資信託、ETF、債券 | 証券会社の通知、取引報告書、残高証明書、配当通知 |
| 生命保険 | 死亡保険金、医療保険、年金保険 | 保険証券、保険会社からの通知、通帳の保険料引落履歴 |
| 自動車 | 普通自動車、軽自動車、バイク | 車検証、自動車税通知書、保険証券 |
| 貴金属・動産 | 金、宝石、時計、骨董品、美術品 | 現物、鑑定書、購入明細 |
| 貸付金 | 人に貸しているお金 | 借用書、振込履歴、メール、LINE |
| 事業用財産 | 売掛金、在庫、設備、事業用口座 | 帳簿、請求書、決算書、契約書 |
| デジタル財産 | ネット銀行、ネット証券、暗号資産、電子マネー、ポイント | スマホ、メール、アプリ、取引所アカウント、決済履歴 |
主なマイナスの財産
| 種類 | 具体例 | 主な確認資料 |
|---|---|---|
| 借入金 | 銀行ローン、カードローン、消費者金融 | 契約書、返済予定表、通帳引落履歴 |
| 住宅ローン | 自宅購入時のローン | 金融機関の書類、団体信用生命保険の有無 |
| クレジットカード債務 | 分割払い、リボ払い、未払い利用額 | 利用明細、請求書、メール |
| 未払い税金 | 固定資産税、住民税、所得税 | 納税通知書、督促状 |
| 未払い費用 | 医療費、介護費、施設利用料、家賃 | 請求書、領収書、契約書 |
| 保証債務 | 連帯保証人、事業借入の保証 | 契約書、金融機関からの通知 |
| 葬式費用 | 通夜、葬儀、火葬等の費用 | 請求書、領収書 |
相続税の計算では、被相続人が残した一定の債務や、相続人などが負担した一定の葬式費用を遺産総額から差し引ける場合があります。ただし、どこまで控除できるかは税務判断が必要になるため、相続税申告が関係する場合は税理士への確認が必要です。
相続財産の確認はどの順番で進めるか
相続財産の確認は、思いついたものからバラバラに調べるより、順番を決めて進めた方が確実です。
基本的には、次の流れで進めます。
1 自宅にある資料を確認する
2 郵便物・メール・スマホ・通帳の履歴を確認する
3 金融機関・保険会社・証券会社などへ照会する
4 不動産は名寄帳・評価証明書・登記事項証明書で確認する
5 借金・未払い金・保証債務を確認する
6 死亡日時点の残高や評価額を確認する
7 財産目録にまとめる
相続財産の確認で大切なのは、「あるかもしれない財産を探す段階」と「実際に金額や内容を確定する段階」を分けることです。
まずは、可能性のある財産を拾い出します。
その後、残高証明書、評価証明書、取引明細、登記事項証明書などを取得して、財産の内容を確認していきます。
まず確認すべき手元資料
相続財産を調べるときは、まず亡くなられた方の自宅や手元資料を確認します。
確認したい資料は、次のようなものです。
通帳
キャッシュカード
印鑑
保険証券
証券会社からの郵便物
固定資産税の納税通知書
自動車税の納税通知書
車検証
金庫
郵便物
請求書
領収書
借用書
契約書
スマートフォン
パソコン
メール
家計簿
確定申告書
年金関係書類
介護施設・病院の請求書
クレジットカード明細
公共料金の明細
サブスク契約の通知メール
この段階では、金額を確定させるというより、「どこに財産がありそうか」「どの会社と取引がありそうか」「どの役所・金融機関に確認すべきか」を見つけることが目的です。
預貯金の確認方法
預貯金は、相続財産の中でも確認頻度が高い財産です。
まず、通帳やキャッシュカードを確認します。
通帳がある場合は、金融機関名、支店名、口座番号、最終残高、定期預金の有無を確認します。
ただし、通帳に記載されている残高だけで確定するのは危険です。
相続手続きでは、通常、金融機関に対して死亡日現在の残高証明書を取得して確認します。
預貯金で確認すること
金融機関名
支店名
口座番号
普通預金か定期預金か
死亡日現在の残高
死亡日前後の入出金
自動引落の内容
貸金庫の有無
投資信託や外貨預金の有無
通帳には普通預金しか見えていなくても、同じ金融機関に定期預金、外貨預金、投資信託、貸金庫がある場合もあります。
また、近年はネット銀行や通帳レス口座も多いため、紙の通帳がないからといって口座がないとは限りません。
スマートフォンの銀行アプリ、メール、SMS、クレジットカード明細、給与や年金の振込口座なども確認します。
相続時預貯金口座照会制度について
相続時預貯金口座照会制度により、相続人が被相続人名義の預貯金口座情報を確認できる場合があります。
ただし、この制度で確認できるのは、被相続人のマイナンバーに紐づいている預貯金口座に限られます。
また、通知されるのは金融機関名、支店名、預貯金の種類、口座番号などであり、残高は通知対象ではありません。残高を確定するには、各金融機関で別途、残高証明書などを取得する必要があります。
つまり、この制度は便利ですが、「すべての口座を完全に発見できる制度」「残高まで分かる制度」ではありません。
手元資料の確認、通帳・郵便物・メールの確認、各金融機関への照会とあわせて使うものと考えた方が安全です。
不動産の確認方法
相続財産の確認で、特に漏れが出やすいのが不動産です。
不動産というと、自宅の土地建物だけを想像しがちですが、実際には次のようなものも相続財産になります。
自宅の土地
自宅の建物
マンション
駐車場
貸家
アパート
畑
田
山林
原野
私道
共有持分
遠方の土地
親から相続したまま放置している土地
不動産調査で最初に確認する資料は、固定資産税の納税通知書です。
ただし、固定資産税の納税通知書だけで不動産を確定するのは不十分な場合があります。
そこで重要になるのが、名寄帳です。
不動産調査では名寄帳が重要
名寄帳とは、市区町村ごとに、ある人がその自治体内で所有している固定資産を一覧で確認できる資料です。
固定資産税の納税通知書だけを見ていると、非課税の土地、共有持分、私道、古い土地、評価額が低い土地などを見落とすことがあります。
そのため、不動産を確認するときは、固定資産税の通知書だけでなく、名寄帳を取得して確認することが大切です。
三芳町の固定資産関係証明書交付申請書でも、名寄台帳の写しが証明書の種類として示されており、相続人または代理人が申請する場合には、相続人であることが分かる戸籍書類の提示が必要とされています。
名寄帳で確認したいこと
土地の所在
地番
地目
地積
家屋の所在
家屋番号
床面積
評価額
共有持分
非課税物件の有無
私道や山林の有無
ただし、名寄帳は市区町村ごとに取得するものです。
三芳町の名寄帳を取っても、所沢市、富士見市、ふじみ野市、県外の不動産までは分かりません。
亡くなられた方が過去に住んでいた地域、実家のある地域、親から相続していた地域なども確認が必要です。
不動産を確定させるための資料
不動産を相続財産として確認するには、次の資料を組み合わせて確認します。
| 資料 | 確認できること |
|---|---|
| 固定資産税納税通知書 | 課税されている土地・建物、評価額の目安 |
| 名寄帳 | 市区町村内の所有不動産の一覧 |
| 固定資産評価証明書 | 評価額、登録免許税計算の基礎資料 |
| 登記事項証明書 | 所有者、持分、抵当権、地番、家屋番号 |
| 公図・地積測量図 | 土地の位置・形状 |
| 売買契約書 | 取得経緯や共有関係 |
| 権利証・登記識別情報 | 過去の登記関係の手がかり |
なお、不動産を相続で取得した場合、相続登記が必要になります。相続登記は、相続により不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請する義務があります。
不動産の相続登記は司法書士の業務です。
行政書士が相続手続き全体の整理をする場合でも、相続登記が必要なときは司法書士との連携が必要になります。
事例1 固定資産税通知書だけでは土地を見落とすケース
父が亡くなり、自宅の固定資産税通知書を見たところ、土地と建物が1つずつ記載されていました。
相続人は、「不動産は自宅だけだろう」と考えていました。
しかし、市区町村で名寄帳を取得したところ、自宅前の私道持分と、昔相続したままになっていた小さな畑が見つかりました。
この場合、固定資産税通知書だけで遺産分割協議書を作ってしまうと、あとから見つかった土地について、追加の協議や書類作成が必要になる可能性があります。
不動産がある場合は、固定資産税通知書だけで判断せず、名寄帳で確認することが重要です。
株式・投資信託・証券口座の確認方法
株式や投資信託は、通帳だけでは分からないことがあります。
証券会社からの郵便物、取引報告書、配当金計算書、NISA口座の通知、メールなどを確認します。
確認するもの
証券会社名
支店名
口座番号
上場株式の銘柄
投資信託の名称
債券
NISA口座
特定口座
配当金の受取方法
死亡日現在の残高
証券会社が分かった後は、各証券会社に対して相続手続きの照会を行い、残高証明書や取引明細を取得して内容を確認します。
相続税申告が必要な場合には、死亡日現在の評価額や評価方法について税理士への確認が必要です。
生命保険の確認方法
生命保険は、遺産分割の対象になるかどうか、相続税の対象になるかどうかを分けて考える必要があります。
死亡保険金は、受取人が指定されている場合、受取人固有の財産として扱われることがあります。
一方で、被相続人が保険料を負担していた死亡保険金は、相続税の計算では、相続等により取得したものとみなされ、相続税の課税対象になる場合があります。相続人が受け取る死亡保険金については、「500万円×法定相続人の数」まで非課税となる制度があります。
生命保険で確認すること
保険会社名
保険の種類
契約者
被保険者
死亡保険金受取人
保険金額
入院給付金や手術給付金の有無
未請求の保険金がないか
解約返戻金の有無
保険証券が見つからない場合でも、生命保険会社からの郵便物や、通帳の保険料引落履歴が手がかりになります。
自動車の確認方法
自動車も相続財産になります。
車検証、自動車税の納税通知書、自動車保険証券、ローン契約書などを確認します。
自動車で確認すること
車名
登録番号
車台番号
所有者
使用者
ローンの有無
残債の有無
自動車保険
評価額の目安
車検証上の所有者が本人ではなく、ローン会社や販売会社になっている場合があります。
この場合、ローン残債や所有権留保の確認が必要です。
相続人がその車を引き継ぐのか、売却するのか、廃車にするのかによって手続きが変わります。
借金・未払い金の確認方法
相続では、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も引き継ぐ可能性があります。
そのため、借金や未払い金の確認は非常に重要です。
確認すべき負債
住宅ローン
カードローン
消費者金融
クレジットカード未払い
リボ払い
病院代
介護施設利用料
家賃
水道光熱費
携帯電話料金
未払い税金
事業上の買掛金
保証債務
連帯保証
確認資料
請求書
督促状
契約書
通帳の引落履歴
クレジットカード明細
ローン返済予定表
郵便物
メール
スマホアプリ
確定申告書
事業帳簿
借金が多い可能性がある場合は、相続放棄を検討する必要があります。
この場合、財産を処分したり、預金を使ったりする前に、早めに専門家へ相談することが重要です。
デジタル遺産の確認方法
近年、相続財産の確認で重要になっているのがデジタル遺産です。
デジタル遺産には、財産的価値のあるものと、契約や情報管理の問題として整理すべきものがあります。
国民生活センターも、デジタル遺品について、遺族が契約内容の確認や解約をしたくても、IDやパスワードの手がかりがないために手続きに困るケースがあると注意喚起しています。
財産性が問題になりやすいデジタル遺産
ネット銀行
ネット証券
暗号資産
電子マネー
QRコード決済残高
ポイント
マイル
オンライン決済サービス
アフィリエイト報酬
動画配信・配信収益
クラウド上の有料サービス
サブスク契約
デジタル遺産でまず確認する場所
スマートフォン
パソコン
メールアカウント
SMS
銀行アプリ
証券アプリ
暗号資産取引所アプリ
決済アプリ
クレジットカード明細
通帳の引落履歴
スマホ料金の明細
クラウドストレージ
ブラウザのブックマーク
パスワード管理アプリ
エンディングノート
ただし、故人のスマートフォンやアカウントに無理にアクセスすることは、利用規約や法的問題が関係する場合があります。
特にSNS、クラウドサービス、サブスクなどは、相続人が当然にアカウントを引き継げるとは限りません。
サービスごとの利用規約、死亡時の手続き、相続人向け窓口を確認する必要があります。
暗号資産の確認方法
暗号資産は、相続財産として見落とされやすい財産です。
取引所に預けている場合もあれば、個人のウォレットで管理している場合もあります。
国税庁の暗号資産に関するFAQでは、暗号資産を相続や遺贈により取得した場合、相続税の課税対象になると説明されています。
暗号資産で確認すること
取引所名
ログイン情報の手がかり
登録メールアドレス
保有銘柄
数量
死亡日現在の評価額
ウォレットの有無
秘密鍵・シードフレーズの有無
過去の取引履歴
暗号資産は、秘密鍵やシードフレーズが分からないと、実質的に取り出せない場合があります。
そのため、スマートフォンやパソコン、メール、メモ、パスワード管理アプリ、取引所からのメールなどを確認することが重要です。
ただし、評価方法や相続税申告の扱いは税務判断が必要になるため、税理士への相談が必要になる場合があります。
事例2 ネット銀行と暗号資産があとから見つかったケース
母が亡くなり、相続人は自宅にあった通帳だけを確認していました。
通帳は地方銀行とゆうちょ銀行だけだったため、預貯金はそれだけだと思っていました。
しかし、クレジットカード明細を確認したところ、ネット銀行からの引落しと、暗号資産取引所らしき会社名が見つかりました。
さらにスマートフォンのメールを確認すると、ネット銀行の口座開設メールと暗号資産取引所からの通知が残っていました。
このように、紙の通帳だけではデジタル財産を見落とすことがあります。
ネット銀行、ネット証券、暗号資産、電子マネーは、メール、アプリ、通帳の引落履歴、クレジットカード明細から手がかりを探す必要があります。
財産をどうやって確定させるのか
相続財産は、見つけただけでは足りません。
遺産分割協議書や財産目録に記載するためには、内容をできるだけ具体的に確認する必要があります。
財産確定の基本
| 財産 | 確認方法 |
|---|---|
| 預貯金 | 死亡日現在の残高証明書を取得する |
| 不動産 | 名寄帳、評価証明書、登記事項証明書で確認する |
| 株式・投資信託 | 証券会社の残高証明書、取引明細を取得する |
| 生命保険 | 保険会社に契約内容・受取人・保険金額を確認する |
| 自動車 | 車検証、ローン残債、評価額を確認する |
| 借入金 | 借入先の残高証明書、返済予定表を確認する |
| 未払い金 | 請求書、領収書、支払状況を確認する |
| 暗号資産 | 取引所の残高、死亡日現在の数量・評価額を確認する |
| 電子マネー・ポイント | サービスごとの規約と残高確認方法を確認する |
大切なのは、死亡日現在の状態で確認することです。
相続は死亡によって開始します。
そのため、預貯金や証券、暗号資産などは、死亡日現在の残高や数量を確認することが基本になります。
ただし、相続税申告が必要な場合の評価方法は税務判断になります。
税額計算や評価については、税理士への確認が必要です。
財産目録を作成する
財産の確認が進んだら、財産目録を作成します。
財産目録とは、相続財産を一覧にまとめたものです。
遺産分割協議をする際にも、相続税の確認をする際にも、財産目録があると整理しやすくなります。
財産目録に記載する主な項目
財産の種類
財産の内容
所在・金融機関名・口座番号など
数量・面積・持分
死亡日現在の金額
評価額
確認資料
備考
遺産分割の対象になるか
相続税上の確認が必要か
財産目録の例
| 種類 | 内容 | 確認資料 | 金額・評価額 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 預貯金 | 〇〇銀行〇〇支店 普通預金 | 残高証明書 | 1,200,000円 | 死亡日現在 |
| 不動産 | 三芳町〇〇所在の土地 | 名寄帳・登記事項証明書 | 評価額5,000,000円 | 持分2分の1 |
| 株式 | 〇〇株式会社 100株 | 証券会社残高証明書 | 評価確認中 | 税理士確認 |
| 生命保険 | 〇〇生命 死亡保険金 | 保険証券 | 5,000,000円 | 受取人指定あり |
| 自動車 | 普通自動車 | 車検証 | 評価確認中 | ローンなし |
| 債務 | 〇〇銀行カードローン | 残高証明書 | △800,000円 | 返済要確認 |
行政書士が相続財産の確認でサポートできること
相続財産の確認は、預貯金や不動産の有無を調べるだけではありません。
その後に、遺産分割協議書を作成するのか、法定相続情報一覧図を利用するのか、預貯金の解約手続きに進むのか、不動産の相続登記や相続税申告が必要になるのかを整理する必要があります。
行政書士は、官公署に提出する書類、権利義務・事実証明に関する書類などの作成を業務としています。相続分野では、紛争性のない範囲で、遺産分割協議書、相続関係説明図、法定相続情報一覧図、預貯金手続きに必要な書類整理などをサポートできる場合があります。
また、法定相続情報証明制度では、相続人本人のほか、委任を受けた代理人が申出をすることができ、資格者代理人には行政書士も含まれます。
行政書士が対応できること
相続手続き全体の流れの整理
相続人の確認に必要な戸籍の確認
相続関係説明図の作成
法定相続情報一覧図の作成サポート
預貯金手続きに必要な書類の整理
遺産分割協議書作成の前提となる財産資料の整理
財産目録の作成サポート
不動産、預貯金、自動車、保険、証券口座などの確認資料の整理
相続人全員の合意内容に基づく遺産分割協議書の作成
自動車の相続手続きに関する書類作成
他士業が必要な場合のご案内
行政書士ができること・できないこと
相続手続きでは、行政書士だけで完結できる部分と、司法書士・税理士・弁護士など他士業の対応が必要になる部分があります。
| 内容 | 行政書士の対応 |
|---|---|
| 相続手続き全体の流れの整理 | 対応可能 |
| 相続人確認のための戸籍整理 | 書類作成業務に必要な範囲で対応可能 |
| 相続関係説明図の作成 | 対応可能 |
| 法定相続情報一覧図の作成サポート | 対応可能 |
| 預貯金手続きに必要な書類整理 | 対応可能 |
| 財産目録の作成サポート | 対応可能 |
| 遺産分割協議書の作成 | 相続人全員の合意内容に基づき対応可能 |
| 自動車の相続手続き | 対応可能 |
| 不動産の相続登記 | 司法書士の業務 |
| 相続税の申告・税額計算 | 税理士の業務 |
| 相続人間の争い・交渉代理 | 弁護士の業務 |
| 遺留分侵害額請求 | 弁護士の業務 |
| 財産隠しや使い込みをめぐる紛争対応 | 弁護士の業務 |
行政書士は、相続財産の評価や税額計算、不動産登記、相続人間の代理交渉を行う立場ではありません。
相続手続きに必要な書類作成と、その前提となる資料整理を中心に、必要に応じて司法書士・税理士・弁護士などの専門家と連携してサポートします。
行政書士に相談しやすいケース
次のような場合は、行政書士に相談しやすいケースです。
相続手続きで何から始めればよいかわからない
戸籍や財産資料を集めたが、整理できていない
銀行から相続手続きの書類を求められている
相続人は分かっているが、必要書類が分からない
遺産分割協議書を作成したい
法定相続情報一覧図を利用したい
預貯金、自動車、不動産など、財産の全体像を整理したい
相続税や相続登記が必要かどうか、まず全体像を確認したい
司法書士、税理士、弁護士のどこに相談すべきか分からない
MiRAIL行政書士事務所でサポートできること
MiRAIL行政書士事務所では、相続財産の確認について、単に財産を一覧にするだけでなく、その後の手続きに使える形で整理することを大切にしています。
たとえば、次のような内容を確認します。
どの金融機関に預貯金があるか
死亡日現在の残高証明書が必要か
不動産について名寄帳を取得すべきか
固定資産税通知書だけで判断していないか
登記事項証明書で所有者や持分を確認すべきか
生命保険金が遺産分割の対象になるか
自動車の名義変更や廃車手続きが必要か
ネット銀行、ネット証券、暗号資産などのデジタル財産の手がかりがないか
借金、未払い金、保証債務の可能性がないか
相続放棄を検討すべき事情がないか
相続税や相続登記について他士業への相談が必要か
相続財産の確認は、遺産分割協議書や預貯金手続きの前提になる重要な作業です。
財産の一部を見落としたまま遺産分割協議を進めてしまうと、あとから追加の協議や書類作成が必要になることがあります。
そのため、相続手続きでは、相続人の確認とあわせて、相続財産の確認を丁寧に行うことが大切です。
注意が必要なケース
次のような場合は、行政書士だけで進めるのではなく、他士業との連携が必要になることがあります。
相続人同士で意見が対立している
遺産の使い込みが疑われている
特定の相続人が財産資料を開示しない
遺留分侵害額請求をしたい、または請求されている
不動産の相続登記が必要
相続税の申告が必要になる可能性がある
非上場株式や事業用財産がある
海外財産がある
借金が多く、相続放棄を検討している
このような場合でも、まず状況を整理することは重要です。
行政書士が対応できる範囲を確認し、必要に応じて司法書士、税理士、弁護士などの専門家と連携しながら進めることで、相続手続き全体を整理しやすくなります。
事例3 子名義の預金が問題になるケース
父が亡くなり、父名義の預金はそれほど多くありませんでした。
しかし、父が生前に管理していた子名義の通帳が見つかりました。
通帳の印鑑も父が保管しており、入金も父の口座から行われていました。
この場合、名義は子であっても、実質的に父の財産ではないかが問題になることがあります。
相続財産の確認では、単に名義だけを見るのではなく、誰が資金を出したのか、誰が管理していたのか、贈与の意思があったのかなどを確認する必要があります。
税務判断が必要になるため、相続税申告が関係する場合は税理士への相談が必要です。
事例4 借金があとから見つかるケース
父が亡くなり、預金と不動産があることは分かっていました。
相続人は遺産分割協議を進めようとしていましたが、郵便物を整理していたところ、カードローンの督促状が見つかりました。
さらに通帳を確認すると、毎月一定額の返済が引き落とされていました。
この場合、プラスの財産だけでなく、借金も含めて相続するかどうかを判断する必要があります。
借金の金額が大きい場合、相続放棄の検討が必要になることがあります。
財産を使ったり、不動産を処分したりした後では問題になることがあるため、負債が疑われる場合は早めに確認することが重要です。
事例5 身寄りのない叔父さんの財産を確認するケース
叔父が亡くなり、配偶者も子もいないと思われるケースです。
相続人は甥・姪になる可能性があります。
このような場合、相続財産の確認は難しくなりやすいです。
なぜなら、相続人が叔父の生活状況や取引金融機関を詳しく知らないことが多いからです。
この場合は、次のような資料から手がかりを探します。
自宅の郵便物
通帳
キャッシュカード
固定資産税通知書
年金振込口座
公共料金の引落口座
保険会社からの通知
証券会社からの通知
スマートフォン
パソコン
介護施設・病院の請求書
税務署や市区町村からの通知
身寄りがないと思っていても、不動産、古い預金、保険、証券口座が見つかることがあります。
一方で、借金や未払い費用が残っている場合もあるため、慎重に確認する必要があります。
相続財産の確認でよくある見落とし
相続財産の確認では、次のような見落としがよくあります。
固定資産税通知書に載っていない土地
共有持分
私道
遠方の土地
古い定期預金
ゆうちょ銀行の定額貯金
ネット銀行
ネット証券
暗号資産
生命保険
未請求の入院給付金
自動車ローン
クレジットカードのリボ払い
保証債務
家族名義預金
貸金庫
電子マネー
サブスク契約
未払い税金
介護施設や病院の未払い金
特に注意したいのは、家族名義の預金です。
名義は配偶者や子であっても、実質的に亡くなった方の財産ではないかが問題になる場合があります。
この判断は税務や紛争に関係するため、税理士や弁護士に確認すべき場面があります。
相続財産の確認で注意すべきこと
財産を勝手に処分しない
相続放棄を検討している場合、財産を処分したり、預金を使ったりすると問題になる可能性があります。
借金が多いかもしれない場合は、財産に手をつける前に専門家へ相談した方が安全です。
一部の相続人だけで進めない
相続財産の確認は、後日のトラブルを避けるためにも、できるだけ相続人間で情報共有しながら進めることが大切です。
特定の相続人だけが通帳や資料を管理していると、不信感につながることがあります。
遺産分割の対象と相続税の対象を分けて考える
生命保険金などは、遺産分割の対象になるかどうかと、相続税の対象になるかどうかが一致しない場合があります。
「遺産分割協議書に書く財産」と「相続税申告で確認する財産」は、完全に同じとは限りません。
税務評価は税理士に確認する
不動産、株式、非上場株式、暗号資産、事業用財産などは、評価方法が問題になることがあります。
相続税申告が必要な場合は、税理士に確認することが重要です。
争いがある場合は弁護士へ相談する
財産隠しが疑われる場合、相続人間で対立がある場合、遺産の使い込みが問題になる場合は、弁護士への相談が必要になることがあります。
まとめ
相続財産の確認は、相続手続きの中心になる作業です。
預貯金だけでなく、不動産、株式、生命保険、自動車、現金、貸付金、事業用財産、デジタル遺産、借金、未払い金まで幅広く確認する必要があります。
特に不動産は、固定資産税通知書だけで判断せず、名寄帳を取得して確認することが大切です。
また、ネット銀行、ネット証券、暗号資産、電子マネー、サブスクなど、スマートフォンやメールの中に手がかりがある財産や契約も増えています。
相続財産の確認では、まず手元資料から財産の可能性を洗い出し、その後、残高証明書、名寄帳、評価証明書、登記事項証明書、保険会社や証券会社の書類などで内容を確認していきます。
相続財産を正確に確認できれば、相続放棄の判断、遺産分割協議、預貯金解約、不動産手続き、相続税の確認を進めやすくなります。
反対に、財産調査が不十分なまま進めると、あとから財産や借金が見つかり、協議のやり直しや相続人間のトラブルにつながることがあります。
相続手続きでは、最初に相続人を確認し、次に相続財産を確認する。
この順番で、ひとつずつ整理していくことが大切です。
